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気まぐれ日記(笑)
普通の日記・音声・バトン、なんでもアリの日記です♪
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そして、引きづられたまま私は、どこか分からないけど、
やたらたくさんイスが並んでいるテーブルのある所に連れてこられた。


ようやく腕を解放された私は、また戒厘ちゃんの右手を握った。


って、そうだった……
手首から先取れてたんだった………



っつーか、慣れ始めてる私が一番嫌………


「これ、何なの……」
「何がですか?」
「何って、私に術かけて動けなくしたり、
自分のこと傷つけたり……さっきも、私たちのこと獲物って……」

私の畳みかけるような質問に、戒厘ちゃんは微かに笑みを浮かべると、
突然取れた手首を口にくわえた。


「ちょっと………な……にしてんですか戒厘さん……」
「…親から頂いた体、粗末にしちゃいけませんから………」


血だらけの左手に持たれた右手はを戒厘ちゃんはにっこりと笑って
口に運ぼうとした。



ごめんなさい……
明らかに食べようとしてるよね彼女………
そんなのみれる訳ないじゃん!!!



私は、とっさに両手で戒厘ちゃんの腕を止めた。


「だから、何してんの!!」
「粗末にしないよう、食べ………」「食べるな!!!」


私は、あまりにも恐ろしくて、思わず戒厘ちゃんの言葉を止めた。

もうやだ……
気が狂いそう………


「ンフッ………まともに考えちゃだめです……」

そういうと、戒厘ちゃんは右手の人差し指で私の唇に触れた。








は?
右手………………?




「手ぇぇぇぇぇ?!!!!!」

「手?手がどうかしましたか?」
「何でくっついてんの?!ってか、傷は?!!血は!!!」
「何言ってんですか貴女は………」


楽しそうに笑う彼女の両手は、綺麗な状態で、
傷一つなく戒厘ちゃんの意志通り動いていた。







お願いします………





誰かマジ助けて………




胃が痛みだしたよ…………




「ほら、そんなところに突っ立ってないで、手伝ってください・・・」

いつの間にか、戒厘ウサギはテーブルへ大量のカップを並べていた。

「いやいや戒厘さん?そんな並べなくても・・・」
「・・・?何言ってるんですか・・・たくさんいらっしゃるじゃないですか・・・あなたが連れてきたモノたちが・・・」
「・・・は?」
「ほら、そこにも・・・」


戒厘ちゃんは、私から視線を外して私のすぐ横の地面にほほ笑んだ。



なんか、無性に怖いんですけど?!!!


「ほら、食われたくなかったら、手伝ってください。」
「食われるって?!そんな危険なの?!!!」
「・・・・・・・・・フフッ・・・」



お願いだから、肯定するような笑顔で返事するのはやめてよ・・・


私は泣きそうになりながら戒厘ちゃんの手伝いをすることにした。



.順序良くカップを並べていくと、戒厘ちゃんがふと私の手を止めた。

「・・・そんな並べなくていいですよ・・・」
「・・・・・・は?」
「お客様は二人ですから・・・」
「・・・はぁぁ?!!!自分で並べろって言ったんじゃん!!!」
「さて、次は・・・」
「ちょっと!!!!」



なんか、イライラしてきた・・・




私がうんざりしていると、ふと気配を感じて気配のする方向へ
視線を向けると、そこには本物のウサギがこちらをじっと見つめていた。


「・・・ウサギ?」
「・・・?どうかしましたか?」
「え?あ、あそこに・・・あれ?」


一瞬戒厘ちゃんに視線を戻し、もう一度ウサギをみると、
そこにはただ草が風に揺れているだけだった。

「幻覚?」
「・・・何を言ってるんですか?」
「いや、今の戒厘ちゃんにそれを言われたくないんだけど・・・
さっき、そこにウサギが・・・」
「・・・へぇ・・・見られてるみたいですね・・・」
「・・・何に?」
「・・・ウサギさんに・・・」


意味深な笑みを浮かべた戒厘ちゃんは、再びカップを並べ始めた。


しばらくすると、どこからかいい香りが漂ってきた。

このにおいは・・・
何かが焼きあがる香ばしい香り・・・

「・・・あぁ、焼けたようですね・・・」
「・・・何か焼いてたの?」
「ええ・・・」

戒厘ちゃんが手のひらを上に向けると、
まるで手品のように“ボンッ”とでっかいケーキが現れた。

「?!!」
「・・・ね?おいしそうでしょ?」
「・・いやいや、今どこから?!!」
「・・・手からですが?」
「・・・もういい・・・もういいやなんでも・・・」

だんだん慣れ始めたのか、私は少々のことで驚かなくなってる・・・



うんざりして疲れた私は、いっぱい並ぶ席の一つに腰かけた。

すると、足音が聞こえてきた。


「・・・ゲスト到着のようですね・・・」


え?

戒厘ちゃんがそういって私の座る席の真横に立った時、
警戒心を顕わにした梅流アリスとチャシャ亜梨ちゃんが現れた。


「いらっしゃいませ、ようこそマッドパーティーへ・・・」
「・・・来てやったぞ・・・ありがたく思いやがれ・・・」


不機嫌そうな亜梨ちゃんと、機嫌のいい戒厘ちゃんが話している
いつもの光景が、なぜか私はいつもの光景のように思えず、
ただ二人を見つめていた。


すると、視線を感じて梅流ちゃんのほうへ目を向けると、
梅流ちゃんの腕に、何かが抱かれていた。



「・・・ウサギ?」
「・・・え?あ、気がついた杏?かわいいでしょ!
さっき見つけたの・・・なついてきたから、連れてきちゃった!」


いや、梅流ちゃん・・・連れてきたって・・・明らかにそこウサギ、
意思を持ってるよ・・・


「・・・こんな真っ白なの珍しいでしょ?」
「・・・え?」


白い兎は当たり前なのに、梅流ちゃんが意味深なことを言った。



白いのが珍しい?


不思議に思っていると、突然戒厘ちゃんが私の腕を掴んだ。


「え?」
「・・・さぁ、行きましょうか・・・」
「は?どこに?」
「ここは危険ですから・・・」

にっこりと笑った戒厘ちゃんは、ものすごい速さで二人を振り切るよう、
その場から移動した。


「ちょっと?!!!」
「・・・にあなただけは渡しませんから・・・」
「・・・はぁ?!!」


風の抵抗があまりに強すぎて、私はいまいち戒厘ちゃんが
何を言っているか聞こえなかった。


ただ、聞こえたのは


「あなただけは渡しませんから」

という言葉・・・


どういうこと?


少しうんざりしながら脱力して、ただ戒厘ちゃんに引っ張られてたけど・・・


「ぶっ?!!」
「・・・ちゃんと前を見て走って下さいよ・・・」
「なら、ちゃんと今の状況を説明して下さい・・・」




私は、突然止まった戒厘ちゃんのせいで、戒厘ちゃんに突っ込んで頭を打ち、
痛みをこらえながら当りを見回した。




「今の状況は・・・カード兵に取り囲まれてるってことですねぇ・・・」
「・・・うん、それはみりゃ分かるわ・・・」
「・・・それじゃあ、これからどうされるかも分かりますよね♪」




笑顔で振り向いた瞬間、沢山のカードに手足の付いたのが私達に振ってきた。




「ぅあぁぁぁぁ!!!!」




一瞬でカードに押しつぶされ、私はいつの間にか気を失っていたらしい・・・






次に目を開けた瞬間、私は縄で体を括られ、証人台のような所に立っていた。




「・・・なに・・・こ・・・」


ここと言おうとした瞬間、正面に気配を感じた私は、
ちょっと驚いて気配の方を見上げた。




そこには、一段高い所に、綺麗な女の人が微笑んでこちらを見つめていた。


そして、その膝の上には、あの綺麗な真っ白い兎が丸まって気持ちよさそうにその女の人に撫でられている。






「・・・遅かったですね・・・帽子屋さん?」
「・・・あ・・・なた・・・」
「気付いているんですよね?ここの世界がどんな世界か・・・」
「・・・・・・そりゃぁ・・・アリスの世界・・でしょ?」
「ええ・・・それも、私が支配する世界・・・」




そういうと、ゆっくりとまばたきした女王は、私を見つめた。






うわ・・・どうしよう・・・


目が離せないんですけど・・・




離したら、多分危ない・・・




絶対何か起きる・・・









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここで休止中です。
そのうち思いついたらまた続きを書こうと思います(;´Д`)w

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「あ………っ!!!」

今、明らかに亜梨ちゃんメルメルの口手でふさいだ!!


「みぃ〜つけた………」
「?!!!」

金縛りにあったように、体が動かなければ、声も出せない私は、
後ろから抱きつかれて、腰に回された手をふりほどくこともできず、
耳元でささやかれた声に半分安堵を、
半分は得体の知れない危機感を感じていた。


「探したじゃないですか………帽子屋さん?」


声は戒厘ちゃんなのに、何か違う……



なんだろう………




怖い…………











このままじゃ、たぶん私死ぬ…………


「青い顔をして………僕が怖い??」


怖いわけない………
のに怖い………


「ンフフ………」


聞き慣れない笑い方をしたかと思うと、戒厘ちゃんが私から離れ、
正面に移動した……



その姿に、私は更に息を飲んだ。




ウ………ウサギ………??



「せっかくアリスさん達をティーパーティーに招待しようとしてるのに……
あなたがいなきゃ、始まらないじゃないですか……」



マッドティーパーティー………
私が帽子屋なら、戒厘ちゃんは白兎じゃなく、三月ウサギ………


ピッタリすぎて怖いよ………


「貧血ですか………?」
正面に移動した戒厘ウサギは、動けない私を見つめたまま私の頬をなでた。



そして、なぜか頭の上では亜梨ちゃんの気が変わった。



なんで?亜梨ちゃん………
なんで、戒厘ちゃんに殺気向けてんの……?




「ンフフ………貧血なら、鉄分を取らなきゃいけませんね……」
「………?!!!」


戒厘ちゃんが次の瞬間、自信の左腕を右手の爪で切り裂いた。

「さぁ、飲んで?僕の血を………」
「………?!!!!」

動けない私に、左手から血をダラダラと流しながら、
笑顔で私に近づく戒厘ちゃん……



違う………


こんなの戒厘ちゃんじゃない!!





狂ってる………!



「…………?」

ある一定の距離で、戒厘ちゃんが止まった。


亜梨ちゃんの気に気がついた?



「ねぇ、杏ちゃん?」
「………っ?!」
「僕が怖いですか?」



わからない………


分からないよ戒厘ちゃん………
何がしたいの?!!



「皆は、貴女に渡しませんから………」



何言ってるの?



戒厘ちゃんが、血をダラダラ流しながら、私の周りを歩き始めた。


あれ?


いつの間にか亜梨ちゃんの殺気が消えた………



「皆は、僕の獲物ですから………」


すっと後ろから手が伸び、今度は首に手が回った。



「……もう話せますよね?お話できなくては、
僕も寂しいじゃないですか……」
「………え?」


やっと動けて声が出せたことに驚いた私は、思わず、
無傷の戒厘ちゃんの右手を掴んだ。


「何やってんの戒厘ちゃん!!!」
「何って………杏ちゃんとラブシーン??」
「どこが?!これはラブシーンじゃなくて、スプラッタ!!!」


小首を傾げて微笑む彼女に、多少脱力と微かな怒りを感じた私は、
思わず手に力を入れた。


「………痛いじゃないですか杏ちゃん………手取れちゃいますよ?」
「…んなわけ………」


否定しようとした瞬間、ボトッと音がした。


『…………は?』


たぶん、上の二人も思わず声を出したはず………

だって、ハモったもん………




じゃなくてぇぇぇ!!!!!



「手ぇぇぇ?!!!!」
「あ………ほら取れちゃった………」


青くなる私をよそに、
ニコニコしながら戒厘ちゃんは自分の落ちた手を取り上げた。




もー嫌………
誰か説明してこの状況………






「…………あ?!」
「何今度は?!」
「お茶の準備しなきゃ☆」
「……………は?」
「ほら、アリスさん達くる前に準備しなきゃ………行きますよ……」
「ええ?!!ちょっと!!!」

戒厘ちゃんに引きずられたまま、木の上に視線を向けると、
二人もあっけに取られて拉致られる私を呆然と見ているし……


「……ってか、私の手と取れた右手をまとめて引っ張らないでぇ〜〜〜!!!」



私の切実な悲鳴に、戒厘ちゃんはただ「フフ♪」と笑って歩き続けた。

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気がつくと、私は気を失っていたのか、目を開けた。


とりあえず敵の気配はないと思う……
少なくとも殺気はない……


怪我もない……


痛みも不快感もない………


ゆっくりと、立ち上がろうとしたとき、やけに頭が重くて、
軽い目眩のように世界が揺れた。


「重っ?!ってか、なにこれ?!!」


重さに耐えて立ち上がると、私は見慣れない格好をしていた。



帽子屋………?





なんか、嫌な予感がする………

すごい面倒なことに巻き込まれたんじゃないかという、
確信にも近い予感を胸に抱き、私はあたりを見回した。

とりあえず、辺りを見回すと、そこには見たことのない植物が、
うるさいほど生えている。


とてつもなく大きなものから、とてつもなく小さなもの・・・


なんか、この雰囲気知らないけど知ってる・・・

見たことはないけど、知ってる・・・
たぶん、本で見たような・・・



そのとき、どこからかよく知る気配を感じた。




どうしよう・・・
なんか、うれしいけど振り向きたくない・・・



だって、この雰囲気・・・

恐る恐る上を見上げ、気配の元を探すと、
そこによく知る人が枝に座って・・・
というか、横たわってる・・・



「何してんの?」
「それはこっちの台詞だ・・・キョロキョロしやがって・・・」
「状況を把握しようと思って・・・で?亜梨ちゃんは?」
「・・・・さぁな・・・」


亜梨ちゃんを見つけて、ほっとした反面、あまりの怖い雰囲気と、
怖い格好に私は思わず固まった。



「なんだ・・・」
「いや、むしろ亜梨ちゃんこそ何・・・それ・・・?」
「・・・知るか・・・」



不機嫌そうに私から顔を背けると、
やっとさっき亜梨ちゃんの方を見たくなかった原因が分かった。





ってか、この世界が何なのかが分かったような気がして、ウンザリした・・・




「で?あと二人は?」
「・・・梅流はそのうち来るだろ・・・あのバカは知らん・・・」
「・・・見てきたんだ・・・」
「見せられたんだ・・・」


そう言うと、ふわっと私の目の前に下りてきた。





うん。改めてみるとちょっと可愛いけど、やっぱ怖い・・・

























亜梨ちゃんの猫耳(尻尾付き)


あまりの衝撃に、思わずじーっと観察していた私の視線に気がついたのか、
亜梨ちゃんがむっとして後ろを向いた。

「亜梨ちゃん………」
「なんだ………」
「…………これ、ホンモン?」
「………っ?!!!」

私が気になってた亜梨ちゃんのしっぽを握ると、
亜梨ちゃんが思いっきり息をのんで、勢いよくこっちを向いた。


「貴様ぁ〜〜〜〜!!!!」
「いや、違います!ほんの出来心!!!」


首筋に銃を突きつけられ、私は思わずのけぞって両手をあげた。



「…っ?!!バッ……?!!!」
「………へ?ブワッ!!!」


私がのけぞったため、バランスを崩した亜梨ちゃんは
私の上にのしかかってきて、私は亜梨ちゃんに押し倒されるように
その場に倒れた。


「………イタタタタ………亜梨ちゃん………怪我ない?」
「……お前、戻ったら死刑…………」
「ちょっと!押し倒したのそっちじゃん!!」
「……んだと………?」

怒りで低くなった声の亜梨ちゃんに上に乗られたまま喧嘩してると、
足音が聞こえ、そちらを見ると、青ざめた美少女が私たちを見つめていた。



『………………』

あまりの衝撃で無言で視線を向けたまま、私と亜梨ちゃんは固まった。


「…………ラブラブ?」
『違うわ?!!!』


私たちは同時に叫んだ。




「………で、明らかにお前はアリスだな……」
「そうみたい…かわいいでしょ!」
「うん、かわいいよ梅流ちゃん………普通の状況ならね……」
「でも、杏の帽子屋かっこいいし、亜梨姉の猫…………」
「なんだ………」


私と梅流ちゃんの視線を感じたのか、私たちをみた亜梨ちゃんの視線に、
私は思わず……


「カワイイヨネ………」
「………なんで片言、杏?」
「………あいつと杏………出たら殺す………」


「だから!私だって被害者なんだってば!」

帽子に手を当て、重さに耐えながら立ち上がると、一瞬風が動いた気がした。


「………誰かくる……」

ふとそんな気がした私のつぶやきに、二人にも緊張が走った。


いるとは思ってた、私たち以外の存在……


それが話の分かる人ならいいけど………



「なんか、嫌な予感がする……」

メルメルのつぶやきに、私は亜梨ちゃんと視線を合わせた。

「……え?」

突然、亜梨ちゃんがメルメルを小脇に抱えて、飛び上がり、
木の上に飛び乗った……

「ってちょっと?!!置き去り!!!」
「重い…」
「人が重いみたいに言わないでよ!!帽子がでしょ帽子が!!」
「杏?とりあえず、姿隠した方が………ってあぁ?!!」


メルメルの驚きと共に、背後に突然の気配を感じた私は、
なぜかそのまま動けなかった。

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ある日、戒厘ちゃんが部屋にこもっていた。

クスリの調合ではなさそう・・・


何をしているのか気になり、不思議に思った私は、
邪魔しないように軽く扉をノックして声をかけた。


「戒厘ちゃん?」
「はい?」

戒厘ちゃんは、私の方を見ることなく、声だけで返事をした。




あれ?
なんだろ・・・
なんかツマンナイ・・・





いつも返事するとき、必ず目を見てくれてた戒厘ちゃんが、
目を合わせてくれないだけで、なぜか疎外感を感じた私は、
少しの間彼女を見つめた。


「・・・?どうかしましたか??」


何も言わず、視線だけ感じたのか、戒厘ちゃん手元から目を離し
やっと私を見た。



「・・・・なんでもない・・・」



なんか、ものすごいくだらないことを考えた気がした私は、
少し恥かしくなって、ごまかすように部屋の中へ入り、
戒厘ちゃんの側に寄った。


「何してんの?」
「え?あぁ、ちょっと気になることがありまして・・・」


にっこりと笑った後、再び手元へ視線を戻した戒厘ちゃんの視線の先を
見ると、そこには一冊の本が握られていた。

「・・・本?」
「ええ・・・」
「・・・でも、それ何??」

戒厘ちゃんの手元の本には、この世の物とは思えないような
文字なのか絵なのか、はたまたただの線なのか・・・
とにかく、読めない何かが書いてあった。


「これは・・・古代の呪いのかかった本です。」
「えぇ?!!」
「・・・フッ・・・」
「・・・戒厘ちゃん!!」


彼女の微笑みを否定ととった私は、からかわれたと思い、
戒厘ちゃんの肩に手をかけた。





はずだった・・・・




「・・・え?」






戒厘ちゃんの肩に乗るはずの私の手が、すとんと私の太ももを叩いた。



「か・・・りん・・・ちゃん?!」






そこに今までいたはずの戒厘ちゃんは、
微笑を残したまま跡形もなく消えていた。


「亜梨ちゃん!!!亜梨ちゃん!!!亜梨ちゃん!!!!!」
「うるさい!」

私は、亜梨ちゃん名前をただ大声で叫びながら、
亜梨ちゃんと梅流ちゃんがいる部屋に飛び込んだ。




どうしよう・・・
戒厘ちゃんが消えた・・・・
あれは術じゃない・・・
きっと、戒厘ちゃんの身に何か起こったんだ・・・


きっと、この本のせいだ・・・




私は混乱して、亜梨ちゃんが正面に立った事すら気づかずにいた。



次の瞬間、頭に思いっきり衝撃を受け、
手に持っていた戒厘ちゃんの消えた本を落とし、
思わずとてつもない痛みを感じた頭を両手で抑えて
涙を堪えながら亜梨ちゃんを見た。



「痛い!!!」
「うるせぇ!」


亜梨ちゃんは、私の言葉をさえぎるように叫んだ。


「どうしたの杏?」


冷静な梅流ちゃんが傍に来て、本を拾い上げた。



「だって、戒厘ちゃんが・・・!!!」
「落ち着け・・・アイツが何かしでかすのは、いつものことだろ・・・」
「違うの!!!違うの!!!!!」
「だから、落ち着け・・・」


呆れて私の前から離れた亜梨ちゃんは、椅子に座ると新聞を広げた。


「杏・・・この本・・・」
「あ、梅流ちゃんそれ・・・」

梅流ちゃんから本を受け取ろうとした瞬間、
本が私の手に触れる前に床に再び落ちた。



「め・・・るちゃん?!!!」
「・・・なっ梅流?!!」



今度は梅流ちゃんが消えた。


「杏?!」
「だから言ったじゃん!!!」
「・・・どういうことだ・・・」


さっき、戒厘ちゃんが消えたこと、
そして梅流ちゃんが消えた事実を目の当たりにして、
亜梨ちゃんと私は本を真ん中にして向かい合って座った。



「・・・何なんだこれは・・・」
「戒厘ちゃんが、消える前に『古代の呪いがかかった本だ』って・・・」
「そんなわけあるか・・・」


亜梨ちゃんが本に手を伸ばそうとしたのを、私はとっさに手を握って止めた。

「危ないよ!亜梨ちゃん!!」
「このまま黙ってられるのかお前?」
「でも、何も作戦もないまま・・・」
「作戦?それは、敵が見えてる上で初めて生きるんだろうが・・・」
「・・・でも・・・」


ゆっくりと手を離すと、亜梨ちゃんは本を手に取ると、ゆっくりと開いた。


「・・・何かいてあるか全然分からない・・・」
「・・・・・・あいつ、どこでこんなもん拾いやがった・・・」
「・・・え?」
「・・・来るぞ・・・」
「はぁ?」


亜梨ちゃんにがっしりと手をつかまれた瞬間、目の前がグニャリと歪んだ。


なんなの本当に!!!!

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10.遊戯

さぁ、遊ぼう?

一緒に楽しくいつまでも・・・





共に・・・



永久に・・・・

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