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気まぐれ日記(笑)
普通の日記・音声・バトン、なんでもアリの日記です♪
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2.ソラ

私のソラはいつも黒かった…
(杏×梅流)




いつも私は寝ころんでソラを見ていた。

真っ黒なソラ…
余りにソラが黒いから、闇が一面を覆い尽くしてしまいようだった。

ちっぽけな私をなんのためらいもなく飲み込んで…


だけど、今私が見ている空は真っ青だ。
まるで、真っ青な海を飲み込んで、逆に海に飲み込まれたかのよう…


そんな真っ青な空に、フワフワ白い雲が遊ぶように流されてる。


あれ?
流されてるのは私の方?

青い空に抱かれて、流されてるのは、もしかしたら私かもしれない…


流されすぎて、きっと黒い空から青い空まで流されたんだ…


帰れるのかな?


あの黒い世界に…


帰りたいのかな?


それとも、私はどこに行きたいの?



どこかに逝きたいの??



「な〜にしてんの杏?」


頭の上で声がした。


いつの間にか目を閉じていた私は、目を開け声のした方を見ると、
あまりのまぶしさに手をかざした。


「まぶしっ………」
「あ〜んず?どうしたの??」


声の主がしゃがんだせいで、影が私を覆う。


あれ?
あのときの空みたい……

「寝ぼけてる杏?」
「メルメル?」
「寝てたの??」


逆さに見る可愛らしい顔を、私は見上げた。


「空を見てた…」
「ふ〜ん…」
「それでね……」
「ん?」
「………なんでもない……」

あまりにバカバカしくて、きっと今の私の顔は、自嘲気味な笑顔になってる。


「変な杏…」

そういうと、メルメルは私の横に腰掛けた。


「何か用?」


自分で吐いた言葉に、嫌気がさすときがある…

今だってそう…

実は、少しうれしかったのに、すぐその行動に意味を求めたがる……


「杏が気持ちよさそうに寝てたから、逃げて来ちゃった…」
「……え?」
「だって、亜梨姉も厘ちゃんも難しそうな本読んでるんだもん…」


『つまらなくて…』と悪びれた様子もなく笑う彼女に、
私もつい顔がほころぶ…


「杏は?何考えてたの??」

屈託のない笑顔で、メルメルはたまにギクリとすることを聞く…

「別に…私って、雲みたいだと思って……」
「…雲?杏が??」
「うん。あの雲……どこからきて、どこに行くのかわからない雲……」
「そうかな…?違うと思うな…」
「え?」

私は、空を見上げているメルメルを見つめた。

「例えるなら…亜梨姉は太陽…私が雲…厘ちゃんが月で、杏が風?」
「何それ…」
「ほら、亜梨姉っていつも変わらないじゃない?だから、
いつもそこにある太陽!」
「うん。」
「で、私は雲…太陽の光でキラキラ光ったり、
杏の風によって移動させられるの…」
「そうかな?」
「そうだよ!杏は、いつも心地よく吹いてるのに、
たまに怒って荒れ狂ったり…」
「そんなに荒れ狂わないよ私!」
「敵にはかなり荒れ狂うじゃん…」
「そんな、人聞きの悪い…」
「最後が厘ちゃん…月は、丸いのにいつも姿を変える…」
「確かに、いつも笑顔なのに、いつも違う笑顔をしてる…」
「きっと、ホントは何か私達にも言えないような姿をしてるのに、
絶対それを見せないんだよね…でも、そんな不思議な月の側にも
風はいけるんだよ?」
「え?」
「太陽は、月を照らしてる…雲は、たまに月を覆っちゃう…けど、
風は優しく月の側にそっと寄り添えるの……」
「……もしかして、私戒厘ちゃんとラブラブ?」
「ラブラブ!」

私達は、ただ笑った。
なんか、皆それぞれが関わってると知って、うれしかった…

「ねぇ杏?」
「ん?」
「風はどこで生まれて、どこに行くかわからないけど、
皆この空にいるんだよ?」
「……ん??」
「どんなに暗い空でも、私達がいる空と同じなの…
だから、姿が見えなくても、みんなココにいるんだから!」

そう言ってメルメルは綺麗な笑顔になった。

「…どこにも行かないで…じゃないんだ……」
「だって、風を捕まえようとしても無理だもん……」

そっか…
私は流されて来たんじゃない…
流してきたんだ…
自分の意志で…

太陽を見に…
雲を流しに…
月の側に……


「ありがとメルメル……」
「何がぁ??」


わかってるくせに、わからないとほほえむメルメル…


実は、一番喰えないかも……



そんなことを思いながら、再び空を抱きしめるように手を広げ寝ころんだ。


空に生きる私達は、
きっと離れていても同じなんだ…

やっと、私の中のピースが埋まった気がした。

でもね、空には私達だけじゃないんだよ?


青い空にも浮かぶ白い月と、風だけが、星の存在を知ってるんだ…
気の遠くなるような昔に輝いて、散っていった星達の輝きを…
太陽と雲も存在は知ってるかもしれない…

だけど、おそらくその星と最も近くにいて、ともに過ごすのが月で、
その側を風が通っていく…
星が輝くのなら、真っ暗な空もまたいいかな………


そんなことを思いながら、私は再び目を閉じた。

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