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気まぐれ日記(笑)
普通の日記・音声・バトン、なんでもアリの日記です♪
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4.自己紹介

今更ですか…




「あ…」

やっと全員…

といっても、四人だけだけど、とりあえずそろってしばらくした頃、
いつも笑顔を浮かべている子が突然何かに気づいたらしい…

「何だ戒厘…」
「いえ、今更なんですが……」

そう言うと、その子は私の前に立った。

「あなた、誰ですか?」
「今更?!」
「いえ、なんか合流したとき、バタバタしちゃって…
自己紹介まだでしたよね僕?」

確かに、彼女の言うとおり、紹介なしで合流したけど、
今更な上に普通本人に直接言う??

「今更と言われても、なんかこのまま知らないで気持ち悪い仲間演じるの、
僕耐えられそうもなくて…」
「でも厘ちゃん…なにも本人に直接言わなくても…」
「だって、こう言うのは、恥を忍んで勢いで聞いちゃった方が
楽じゃないですか、後々…」

そう言うと、戒厘と呼ばれる彼女は笑った…
けど、なんか彼女いつも笑ってない気がする…


上辺だけの笑顔………

なんか、気に入らない………


「杏…答えてやれ……」
「なんで私が?!」
「お前のことだろ……」
「そうだけど!そもそも、自分から名乗るべきじゃないの!」
「僕は聖戒厘です。玄武の神子で、属性は土と水を持ちます。
諸々の好みは、追々これからと言うことで…よろしいですか?」
「だそうだ杏…」
「………なんなのよ…」
「杏がしにくいなら先に私がする!」
「梅流?!お前は…」
「厘ちゃんと、杏にだけさせるなんてことはないよね亜梨姉?」
「お前な………」

メルメルの、穏やかな強制に、亜梨ちゃんがうなだれた…


もしかして、メルメル最強?


「私は南野梅流。白虎の神子だよ。属性は金!よろしくね!!」
「よろしくお願いしますね梅流ちゃん…」
「うん!厘ちゃん!!」

自己紹介を言い出した張本人の笑顔の子が、
今度は裏のなさそうな笑顔でにこやかに話してる。


なんか、やっぱり気にくわない…


肌に合わない…って、こういうことなのかな…


そんな事をぼんやりと思って二人を見てたら、軽く頭に衝撃を受けた。

え?

私今、叩かれた?

「オレが自己紹介してやるんだ…聞け……」
「ちょっ…」
「自己紹介って、名前言うだけじゃないですか…」


私が、叩かれたことに抗議をしようとしたとき、
遮るように笑顔の人が今度は挑発的な笑みを浮かべた。

「黙れ戒厘…そもそも、お前が始めたことだろーが…」

軽くため息をつき、それからまっすぐに私に向き直った彼女はまるで、私に
『逃げるな』
とでも言うかのように、自己紹介を始めた。

「月夜亜梨馬。朱雀の神子だ。属性は土と火…」

まっすぐな亜梨ちゃんの視線に耐えかねた私は、思わず視線を逸らした。

「杏?」
「………え?」
「あなたの番ですよ?」

どこか心配そうなメルメルの視線と、戒厘ちゃんの穏やかな笑顔に、
私は思わず言葉が発せ無かった。


なんで…


なんで、私は何かを思いだそうとするのに、それを自分自身で拒むの…?




そんなわけないのに…
私が地上人を大切に……好きになる訳ないのに……


でも、頭のどこかではわかってる…





この地上人達を、私は自分の意志で仲間だと思い、大切に思ってると………



だけど、それを認めるのがいやだった…
地界人である私がそれを認めたら、地界を裏切ることになる…
それだけはできなかった…



地界人としての、一分の誇りは消えることは無かった……


「杏?大丈夫??」

俯いて目を瞑っていたから、メルメルがそっと私の腕に触れたことすら驚いて、思わずビクッと体をふるわせた。


目を瞑っているからよけいに感じる…

知らないけど、懐かしい誰かが、記憶の向こうでほほえんでる…


それを思い出せば、きっと楽になるとわかっていたけど、
私にはそれができない…



地界という壁は、かなり高いようだ………



「案外、戒厘の次に影響を受けてるのかもな…」
「そう…ですね…」

不思議な会話をした二人に、なんとなく目を開けて視線を送ると、
戒厘ちゃんは見たことのない、とてつもなく悲しい笑顔を浮かべていた。


なんで…
なんで、彼女の笑顔に心が痛むの?


「杏…」
「何?」

ふと声をかけてきた亜梨ちゃんに意識を向けると、突然銃を向けられた。

「ちょっ?!なんなのさっきから?!」
「お前は誰だ…」
「だ…誰だって、今自分で名前呼んだじゃん!杏って!!私は樋口杏!」
「なぜ一緒にいる…」
「な……なぜって、自分が連れてきたんでしょ?!お前は青龍の神子だって!!」
「………手間かけさせるな……」


それだけ言わせると、亜梨ちゃんは銃をしまった。


もしかして……
乗せられた?
というより……


「なんか、脅された気分…」
「うん…見てる方もそんな気分…」
「ところで杏さんは、属性は?」


戒厘ちゃんが私を『さん』付けで呼んだ…

ふーん…
地界人は仲間に思えないって?
表面上のつきあいですませるって?


まぁ、いいけど……

「属性は、木…なんか文句でも?」
「いえ……通りで……」
「何が?」


一人納得する彼女に、そこにいた全員が不思議に思った。


「ほら、僕土属性じゃないですか?相性悪いんですよね…♪」

楽しげに言う彼女の発言に、苛立ちながらも納得してる自分がいた。


「なるほどね…だから、気に入らないんだ…」
「そのようです♪」
「いい加減にしろ…戒厘…」
「スミマセン…さぁて、自己紹介も終わったし、先に進みましょうか?!」
「ちょっと厘ちゃん!」
「え?ちょっとメルメル?!」

さっさと先に進む戒厘ちゃんに、
私の腕をつかんだままメルメルがかけだした。

「どいつもこいつも……」

一人、亜梨ちゃんだけがため息をついて、ゆっくりと歩き出した。


懐かしいけど新しい仲間…

くやしいけど、たぶん後には大切に思い始めると自覚はあるこの仲間達……


思わず振り返ると、そこにはいくつもの道が広がっていた。


あれ?
私今どこからきたんだっけ?

「ぼーっとしてるな…」

横を通り過ぎた亜梨ちゃんの後を追う…


あ、そっか………


いつだってそうだったんだ……



戒厘ちゃんが道を示し、メルメルに引っ張られ、迷いそうになっても、
亜梨ちゃんが必ず導いてくれる…



たぶん、私の知らない誰か達も同じだったんだ…


「皆…待って……」
「どうかしましたか?」
「どうしたの杏?」
「なんだ…」


三者三様の反応に、少し笑いがこみ上げたけど、
今回は我慢しとくことにした。


「もう逃げるのやめる…」

『???』
「私は地界人…あまり、地上人になじめないかもしれないけど、
がんばってみようかと思う…だから……」
「安心して杏…」
「僕たち皆一般人となじめると思いますか?」
「地上人同士でも、なじめないのに、そう簡単になじまれてたまるか…」
「………へ?」


あまりにも、想像と違う答えがきて、思わず拍子抜けした…


なんなのこの人達……

「皆さ………変だよね…」
「酷い杏?!」
「心外ですね……当たってますけど……」
「当たってるのは、お前だけだ…っつーか、人のこといえるか杏!!」



三人の反応はやっぱり……


「おもしろいね…」
『何が?!』


私は笑いながら歩き出した。


これから、この人達と歩調を合わせるのも悪くないかも……


まるで、涙がでるほどなつかしくて、
会いたい人にやっと再会できたように、私の心は晴れていた。

もう一度後ろを見ると、見知らぬよく知る誰か達が、
笑顔でこっちを見ていたような白昼夢をみた。


「ただいま………バイバイ………」
「どうした?」
「何でもない!行くよ亜梨ちゃん!!」


帰ってきた、知らない場所に、正直戸惑ってはいたけど、四人という事に、
心強さを感じ、私は新たな一歩を踏み出した。


でも、しばらくは皆がいて心強いなんて言わないよ?
頼りにしてるなんてしれたら、悔しいからね…

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3.手
あのとき、手を差し出したのは…
(杏×亜梨馬)



戒厘ちゃんとメルメルを待ちながら、私は亜梨ちゃんと夕日を眺めていた。

「遅いね二人とも…」
「ガキじゃあるまいし、心配はないだろ…」
「いや、むしろガキじゃないから、心配というか…」
「心配性なんだなお前は…」
「だって、苦情が来たら、対処するの私達だよ?」
「……知るか…ほっとけ……」
「………って、もしかして、苦情処理班って私だけ!?」
「………かもな………」
「否定しないし!」

私は、ぶっきらぼうにしながらも、さっきから時計を見てる、
心配性なリーダーの横顔を見て、なんだかおもしろくなった。

「…何がおかしい…」
「別に〜」

私は、いぶかしげに私を見る亜梨ちゃんから視線を逸らし、夕日を見た。

そう言えば、最近夕日ってゆっくり見てなかったかも…

「亜梨ちゃんってさ…」
「なんだ…?」
「なんで、私なんかつれてきたの?」
「何を今更…」

亜梨ちゃんは、少しため息をついた。

「お前が手を差し出したからだろ…」
「…え?あの時、手を差し出したの亜梨ちゃんじゃん?!」
「いや…お前が出した。」
「嘘?!出す訳ないじゃん!!地上人なんかに……」

そこまで言って、私はハッとして口をつぐんだ。

「気にするな…ホントのことだろ…」
「ごめん…」
「何を謝る必要がある…オレたちは、地上人。お前は地界人…
紛れもない事実だろ…」

無表情な亜梨ちゃんは、本当に何も気にしてないようだった。
だけど、自分が未だに地界人だと言うことに、
自分が一番偏見を持っていたことがショックだった…


仲間だと思えた…
一緒だと思いこんでいた…


だけど、それは皆が私を差別をしなかったから…
私は私だと言ってくれたから…


「何凹んでる…」
「……自虐ネタでちょっとね…」
「お前は戒厘か…」
「それ、どっちにも酷っ!」


私は、ぶっきらぼうな亜梨ちゃんの優しさを笑った。

私は、また夕日を見た。

夕焼けに染まる景色は、あまりにも綺麗で、あまりにも儚くて、
その姿を留めたくて、私は両手をさしのべた。

「景色が手を差しのばすか…」
「だって…」

そのとき、私は自分の手を見て気がついた…


亜梨ちゃんが、私が手を指しのばしたと言ったのは、
自分の手じゃなく、私の手を見ていたから…

私が亜梨ちゃんが手をさしのばしたと言ったのは、
私の手じゃなく、亜梨ちゃんの手を見ていたから…


お互いを見て、お互いに手を差し出したから、今私はココにいるんだ…

「何をニヤニヤしてやがる…」
「ニヤニヤって?!せめてニコニコって言ってよ…」
「ニヤニヤだろどうみても…」
「ん〜?何、亜梨ちゃん…もしかして、私の顔ばっか見てた?!」

私はふざけて亜梨ちゃんの肩を抱き寄せた。

「んなわけあるか?!」
「も〜照れちゃって!可愛い亜梨ちゃん!」
「……殺すぞ!」

照れ隠しに悪態つく亜梨ちゃんが、無性に可愛く思えた。

「でもさ、亜梨ちゃん…」
「…なんだ!」

私から離れても、まだ少し赤いままの亜梨ちゃんは、少し乱暴に答えた。

「…アリガトね…私捕まえてくれて…」
「お前が勝手に潜り込んだんだろ…知るか……」

夕日に照らされ、赤く染まった亜梨ちゃんは、ニヤリと笑って立ち上がった。

「いくぞ杏…」
「え〜!もう待ちくたびれたの亜梨ちゃん!」
「あいつ等ぜってー殺す…」

八つ当たり先を見つけたように、亜梨ちゃんは歩き出した。


とりあえず、手を握っちゃったみたいだし、
どこまでもついてくよ亜梨ちゃん…

長い亜梨ちゃんの影を、私は、清々とした気持ちで
誓いを込めるように踏んだ。

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2.ソラ

私のソラはいつも黒かった…
(杏×梅流)




いつも私は寝ころんでソラを見ていた。

真っ黒なソラ…
余りにソラが黒いから、闇が一面を覆い尽くしてしまいようだった。

ちっぽけな私をなんのためらいもなく飲み込んで…


だけど、今私が見ている空は真っ青だ。
まるで、真っ青な海を飲み込んで、逆に海に飲み込まれたかのよう…


そんな真っ青な空に、フワフワ白い雲が遊ぶように流されてる。


あれ?
流されてるのは私の方?

青い空に抱かれて、流されてるのは、もしかしたら私かもしれない…


流されすぎて、きっと黒い空から青い空まで流されたんだ…


帰れるのかな?


あの黒い世界に…


帰りたいのかな?


それとも、私はどこに行きたいの?



どこかに逝きたいの??



「な〜にしてんの杏?」


頭の上で声がした。


いつの間にか目を閉じていた私は、目を開け声のした方を見ると、
あまりのまぶしさに手をかざした。


「まぶしっ………」
「あ〜んず?どうしたの??」


声の主がしゃがんだせいで、影が私を覆う。


あれ?
あのときの空みたい……

「寝ぼけてる杏?」
「メルメル?」
「寝てたの??」


逆さに見る可愛らしい顔を、私は見上げた。


「空を見てた…」
「ふ〜ん…」
「それでね……」
「ん?」
「………なんでもない……」

あまりにバカバカしくて、きっと今の私の顔は、自嘲気味な笑顔になってる。


「変な杏…」

そういうと、メルメルは私の横に腰掛けた。


「何か用?」


自分で吐いた言葉に、嫌気がさすときがある…

今だってそう…

実は、少しうれしかったのに、すぐその行動に意味を求めたがる……


「杏が気持ちよさそうに寝てたから、逃げて来ちゃった…」
「……え?」
「だって、亜梨姉も厘ちゃんも難しそうな本読んでるんだもん…」


『つまらなくて…』と悪びれた様子もなく笑う彼女に、
私もつい顔がほころぶ…


「杏は?何考えてたの??」

屈託のない笑顔で、メルメルはたまにギクリとすることを聞く…

「別に…私って、雲みたいだと思って……」
「…雲?杏が??」
「うん。あの雲……どこからきて、どこに行くのかわからない雲……」
「そうかな…?違うと思うな…」
「え?」

私は、空を見上げているメルメルを見つめた。

「例えるなら…亜梨姉は太陽…私が雲…厘ちゃんが月で、杏が風?」
「何それ…」
「ほら、亜梨姉っていつも変わらないじゃない?だから、
いつもそこにある太陽!」
「うん。」
「で、私は雲…太陽の光でキラキラ光ったり、
杏の風によって移動させられるの…」
「そうかな?」
「そうだよ!杏は、いつも心地よく吹いてるのに、
たまに怒って荒れ狂ったり…」
「そんなに荒れ狂わないよ私!」
「敵にはかなり荒れ狂うじゃん…」
「そんな、人聞きの悪い…」
「最後が厘ちゃん…月は、丸いのにいつも姿を変える…」
「確かに、いつも笑顔なのに、いつも違う笑顔をしてる…」
「きっと、ホントは何か私達にも言えないような姿をしてるのに、
絶対それを見せないんだよね…でも、そんな不思議な月の側にも
風はいけるんだよ?」
「え?」
「太陽は、月を照らしてる…雲は、たまに月を覆っちゃう…けど、
風は優しく月の側にそっと寄り添えるの……」
「……もしかして、私戒厘ちゃんとラブラブ?」
「ラブラブ!」

私達は、ただ笑った。
なんか、皆それぞれが関わってると知って、うれしかった…

「ねぇ杏?」
「ん?」
「風はどこで生まれて、どこに行くかわからないけど、
皆この空にいるんだよ?」
「……ん??」
「どんなに暗い空でも、私達がいる空と同じなの…
だから、姿が見えなくても、みんなココにいるんだから!」

そう言ってメルメルは綺麗な笑顔になった。

「…どこにも行かないで…じゃないんだ……」
「だって、風を捕まえようとしても無理だもん……」

そっか…
私は流されて来たんじゃない…
流してきたんだ…
自分の意志で…

太陽を見に…
雲を流しに…
月の側に……


「ありがとメルメル……」
「何がぁ??」


わかってるくせに、わからないとほほえむメルメル…


実は、一番喰えないかも……



そんなことを思いながら、再び空を抱きしめるように手を広げ寝ころんだ。


空に生きる私達は、
きっと離れていても同じなんだ…

やっと、私の中のピースが埋まった気がした。

でもね、空には私達だけじゃないんだよ?


青い空にも浮かぶ白い月と、風だけが、星の存在を知ってるんだ…
気の遠くなるような昔に輝いて、散っていった星達の輝きを…
太陽と雲も存在は知ってるかもしれない…

だけど、おそらくその星と最も近くにいて、ともに過ごすのが月で、
その側を風が通っていく…
星が輝くのなら、真っ暗な空もまたいいかな………


そんなことを思いながら、私は再び目を閉じた。

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1.目覚め
 
目覚めたのはいつ?
(杏×戒厘/合流直後)



「………私が目覚めたのって…………いつ?」

私は、窓の外の風に揺れる木々を見つめてつぶやいた。
手元のコーヒーからは、ただいい香りの湯気がまっすぐに立ち上っている。

「………さぁ?」

正面に座り、同じように外を見つめていた人が珍しく答えた。

「………珍し………返事するんだ………」

私は視線だけ彼女に向けた。
外を見つめていた彼女は、いつの間にかテーブルに視線を落としていた。

「もしかしたら………今かもしれませんよね………」
「は?」
「僕達の目が覚めたのは…」

彼女は視線を私に向けた。
その表情が、無性に懐かしくて、思わず涙が溢れそうになった私は、
驚きを隠すように再び外に視線を戻した。


今までそんな表情したことないくせに………

始めてみる、穏やかな笑顔に、懐かしい誰かがだぶった。


「アンタ誰?」
「僕は僕です…」
「私はアンタ知らない……」
「いいえ…あなたは知ってます……僕を………」
「知らないって………」

目の前の仲間だと言う人が、全く知らない人に見えた。

「知らないんじゃない…見てないんです僕達を……」
「はぁ?!ちゃんと見てるわよ!」

ちゃんと目で見てるのに、見てないと言う彼女に苛立ちを少し覚えた私は、
正面から彼女を見つめた。

「これでも見てないとでも?」
「ええ。」
「いい加減にっ…!」

思わず立ち上がり、彼女につかみかかろうとしたけど、
私は彼女を見つめたまま動けなかった。


初めてだった…
いつも浮かべてる笑顔を消し、まっすぐに私を見ていた彼女をみたのは…

「やっと見てくれました?」
「………さぁね………」

私は、静かに座った。


「風が強い………」
「まだ荒れてますからね……」
「誰が……?」
「やっと自覚してくれましたか……」
「………ホント嫌い…」
「フフッ」
「なに笑ってんのよ………」


また視線だけで彼女をみると、
なぜかうれしそうに笑っていた。

「気持ち悪っ……」
「ひどいなぁ…」
「………それにしても、遅いあの二人!!」
「…というより、僕たちが一睡もできなかっただけですけど?」
「うるさいなぁ!」
「…杏ちゃんは寝不足だと、イライラするタイプなんですね……」
「そういう戒厘ちゃんは何?テンション上がる方??」
「さぁ…?」

たわいもない会話をしながら、軽くあくびをこらえて窓の外を見た。

「杏ちゃん?」
「何よ……」
「おはようございます。」

私は、戒厘ちゃんをみた。
彼女はまた穏やかな顔をしていた。


「その顔なんか、卑怯……」
「………はい?」
「…俺の前以外で、そんな顔するなよ……って言いたくなるじゃん……」

そういうと、彼女はニヤリといつもの笑顔を浮かべた。

「口説き文句ですか?」
「悪い?」
「いいえ〜…僕みたいのが好みなんて、知らなかったもんで…」
「そりゃ、隠してたもん…」
「隠さなくてもいいのに…」

いつもと違う朝を迎えた私達…

「ねぇ戒厘ちゃん?」
「はい?」
「オハヨ…」
「ええ。おはようございます…」

笑顔で挨拶を交わした私は、
再び外に視線を戻すと、
いつの間にか強い風は止んでいた。

「やっと、風は落ち着いて、元の姿に戻りましたとさ…」
「は?」
「なんでもない!今日は穏やかな日になりそうだって!」


私は思いっきり背伸びをした。
そんな私に、一筋の太陽の光が降り注いだ。


おはよう私…
やっと目が覚めたよ…

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モバで書いていたSSの目次だけこちらに載せておきます。
蒼い風(杏ちゃん中心のSS短篇集)
 1.目覚め
 2.ソラ
 3.手
 4.自己紹介
 5.薬
 6.夢
 7.観察
 8.任務
 9.任務(後日談)
10.遊戯(まだ途中で休止中)


黒い糸(謎の少女視点のメトロ外伝)
 1.森の中の家
 2.語り人
 3.注意
 4.昔話
 5.現実
 6.(現在休止中)


言霊(私が感じた物をただ垂れ流す所w)



以上が作品のそれぞれの目次になります。
これから、随時UPしていきたいと思います。

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HN:
大津綾子
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